塩化鉄(Ⅲ)水溶液の酸性の強さを、炭酸水素ナトリウムを使って視覚化することができます。
実験後余った重金属溶液は正しい方法で処理しましょう。
鉄や銅などの遷移金属塩の水溶液は、有色であるがためにpH試験紙を使ってその酸性を確認することは難しいでしょう。そこでそれら水溶液に重曹を加えることで、酸の強さを可視化させることができます。
使用器具および試薬
使用器具
・試験管(大)×10
使用試薬
・0.10 mol/L 塩化鉄(Ⅲ)水溶液400 mL
・炭酸水素ナトリウム(重曹)
実験方法
1.

10本の試験管に40 mLずつ塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加える
2.

重曹を試験管の端から順に0.1, 0.2, … 0.8, 0.9, 1.0 gというように0.1 gずつ増やして加える。
3.

反応後、試験管の様子を観察する。
ポイント
この実験については参考[1]に詳しい記載があります。この文献では炭酸カルシウムを使った例が紹介されています。重曹より炭酸カルシウムのほうが反応がゆっくりです。
重曹と炭酸カルシウム、2種の反応溶液を比べてみるとこんな感じです。画像から分かるとおり、沈殿ができる炭酸塩の量に違いがあります。これはそれぞれ中和点が異なることに関係しています。炭酸カルシウムは二価、重曹は一価の塩基なので、炭酸カルシウムがより少ない量で中和して、中和点を過ぎると水酸化鉄が沈殿します。

反応後の溶液に対して、チオシアン酸カリウムなどの鉄(Ⅲ)イオンに呈色反応を示す薬品を使って、鉄(Ⅲ)イオンが溶液に残っているかどうか確認することができます[2]。
また定量するなら、吸光光度計を使えるなら「フェナントロリン鉄法」が有効でしょう。EDTA法の場合EDTA溶液自体が塩基性で、滴定していくたびに水酸化鉄が生じてしまうので精度が良くないです。
塩化銅(Ⅱ)水溶液でも同様の実験を行うことができます。反応後の溶液に残った銅(Ⅱ)イオンを定量するなら「ヨウ素滴定」がおすすめです[3]。

参考
[1]陣内大地, 松岡雅忠 “塩化鉄(Ⅲ)の加水分解を視覚化する実験教材の開発” 化学と教育, 69(11), 2021, p.494-497
[2]松岡雅忠, “鉄イオンの呈色反応を利用した面白い実験” 化学と教育, 71(1), 2023, p.16-17
[3]松岡雅忠, ”ヨウ素滴定 ー銅(Ⅱ)イオンの定量ー ” 化学と教育, 62(12), 2014, p.594-595
